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GQ Magazineのmadeonインタビュー記事を全訳してみた

GQ UKのウェブサイトで、madeonのロングインタビューが公開されていたので、全文を日本語訳してみました。アルバムの話やライブの話など、ちょっと意図がつかめてない部分もありますが。。madeon君が日頃からとてもたくさんの事を考えながら活動していることが垣間見れてとてもおもしろいインタビュー記事でした。誤訳や訳が抜けてしまっている部分もあるかもしれないので、お気軽にコメント等いただければと思います。
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GQ&A: madeon

パリっとした白いシャツに黒のブレザーを着てCurzon SohoでコーヒーをすすっているHugo Pierre Leclercq は、フランスエレクトロミュージックシーンのホープというより、まるでどこかのボーイズバンドのメンバーみたいだ。Madeonという名前で知られるこの19歳のDJは、ここ1年くらい最先端のダンスミュージックを担っている。彼は11歳の頃にフランスのナントの地下室で電子音楽を作り始め、2006年からMadeonという名前で楽曲をリリースし続けている。「その頃フランスではドラマティックでインパクトのある名前が流行ってたんだ。Justiceみたいなね。でも、そういうのってネット上では微妙だし、ちょっと大げさすぎだった」と彼は言う。「その点、Madeonは流行とはあまり関係ない名前だね」。
音楽制作を始めた数年後には、レディーガガのUSツアーに同行したり、CoachellaやRadio 1 Hacknew Weekendなど数多くのイベントでDJをするようにまでなった。
MTV Europe Music AwardsでのDJや、最近学校をやめたことから始まって、DJプレイ中の停電、フランスの音楽シーン、Madeonをモデルにしたリスのキャラクターなど、様々な話題をGQ誌に語ってくれました。

いつもブレザーを着てるの?

いつもだよ。毎日同じ服のテレビのキャラクターとかって、見てすぐ分かるでしょ?そんな感じがいいと思って。今までずっと他のDJ達が僕と違ってTシャツとジーンズばかりなのが不思議だったんだ。でも、最近わかったんだけどブレザーを常に持ち運ぶのって結構大変なんだよね(笑)。もちろんスペアのブレザーも持ってるよ。でも、普段使っているブレザーのフィット感には叶わないね。自分に合う服って全然なくて、だいたいカスタムメイドしなくちゃいけないんだ。

いつも音楽製作をしている地下室について教えてもらえる?

とても小さいけど居心地がよい部屋だよ。パソコン、キーボード、本、CDがある。ビートルズの聖地みたいな感じで、ツアー中にファンからもらったプレゼントも全部置いてあるんだ。だから最近はちょっと手狭。ドアは庭に繋がっているんだけど、それの何がよいって、朝日が昇るのが見えるので「セッションは終わり!寝る時間だ」っていうのが分かるところだね。自分以外の人がその部屋にはいるのは好きじゃない、だってケーブルを抜いたりされるかもしれないからね。

ナントで育ったことは音楽に何かしら影響を与えた?

ナントは面白い街だよ。パリほど大きくないけど、文化がある街だし。Les Machines de l'îleというプロジェクトがあって、でかい象のロボットが街を練り歩くんだけど、とてもクールだよ。あと、Pony Pony Run Runやthe Valerie collectiveはエレクトリックシーンでも有名だったしね。

ナントから別の場所に引っ越しするの?

直感的にはニューヨークがいいかなって思う。とはいえ、実際のところロンドンもありかもしれない。仕事もロンドンが多いしね。でもまだ考え中。ずっとツアーをしててほとんど家に帰らないから、引っ越しすること自体は再優先ってわけじゃないんだ。ナントは大好きだけど、ツアーで世界中を回るともっと色んな場所に行きたいって思うようになるね。でも、色んな所に行くとはいえ滞在時間が数時間だったりするので、その点はちょっと残念だな。コスタリカにも東京にも中国にも行ったけど、空港とホテルの部屋しか行かなかったしね。

ちょっとしか滞在できないから残念とはいっても、ツアーを楽しんでるよね?

そうだね。ツアー自体は楽しめるし大好きだよ。大勢のお客さんと毎日コミュニケーションできるし。
スタジオセッションはもっと精神的なプレッシャーがあるね。どっちかというとツアーのほうが簡単だね。まあ、物理的には疲れたりするんだど、そんなにプレッシャーはないからね。

今までで一番最悪のライブは?

最悪なのは、言えないなぁ。その街でまたライブしたいかもしれないしね。でも、難しかったライブはある。ラスベガスで初めてプレイしたときに、最初は観客がどんな感じの音が好きなのか全然わからなかった。でも二回目ではもっといいアイデアが出たよ。国によって、変えなきゃいけないことはあるね。この国はドラムンベースのあまり盛り上がらないな、とかね。一番印象的だったのは、トロントでやったOsheaga Festivalだね。すごくよい感じでライブをしていたんだけど、途中で停電しちゃったんだ。照明も、音も出なくなっちゃって。でも、観客の盛り上がりはキープしたかったんだ。だから、ノートパソコンでメッセージをタイプして観客とやりとりをしようとしたんだ。もうちょっとでタップダンスショーかなにかを始めそうな感じだったよ。電気がもどった時、観客の叫びはすごかったね。なので、ビッグトラックをかけて、新たなライブをスタートしたんだ。15分の前座につづいて、新たなライブセットを始めた感じだった。

Milton Keynes Bowlでのライブみたいな巨大なライブはまだ緊張する?

ツアーを始めたときは結構緊張してたけど、すぐに慣れたよ。たくさんのお客さんがいるときは、観客全体が一つの固まりみたいな感じに見えるんだ。Milton Keynesではお客さんは放射状にひろがる感じだった。前の方のお客さんは絶対踊るんだけど、それが他の人にも放射状に広がっていくかどうかはいいプレイができているかにかかっていて、プレイがいけてると一番端っこのお客さんまでダンスするからね。まるでDJプレイの良さを示すメーターみたいな感じだね。

Madeonはフレンチミュージックシーンの一部だと思う?

自分自身はフランスのアーティストだとも、フレンチミュージックシーンの一部だとも思わないよ。フランスはたくさんの良い音楽があるけど、お高くとまってる感じがあるんだ。それ自体は良し悪しだと思うけれどね。でも、僕はUKのフェスでライブをたくさんして来たし、UKのほうが魅力を感じてるよ、ラジオなんかは特にね。UKのラジオは、ほんとに幅広いジャンルの曲を流すんだ。フランスのラジオだとたとえ夜中の放送だとしても、UKのラジオみたいな選曲はないと思う。UKは新しいテイストの曲の宝庫だし、チャート上位にもほんとにクールな曲が多いんだ。

フランスでは英語の曲を聞くってのは変だって言ったね。僕らがガンナムスタイルを聞くみたいに。

そうだね。でも、ガンナムスタイルは変じゃないよ。ただ他のアメリカの曲と同じってこと。実際たくさんのアメリカ生まれの曲を聞くけど、歌詞がわからなくてもいいんだ。ノリとか情熱がわかればいいしね。ただ、フランス語の曲をつくるときには歌詞に気を使う。物語や詩的なものであってほしいからね。フランス語では"Everyone dance now, I'm having fun in the club."みたいな歌詞はないんだ。そういうものは英語でいいから。音楽の中でも、いろんな言語がいろんな使われ方をするのは面白いと思うな。

まだ若いのにブレイクしてしまったことについて、心配することはある?

特にメディアは若いということについてすごく気にするよね。でも、年齢についてはあまりフォーカスされないようにすごく気にしてる。年齢に関する内容のインタビューや写真はずっと断ってきてるしね。これに関しては結構センシティブかも。もちろん、フェスなんかに出ちゃうと実際隠すことはできないよ。でも、若いということばかりには注目されたくはないんだ。もう19歳になったので、これからはそこまで注目されることもないだろうけど、16歳の時は年齢の話ばっかりだったね。それよりも、僕の音楽やパーソナリティに注目してほしかったんだけど。ファンになってくれる人の事を考えると、音楽じゃなくてストーリーが先にフォーカスされるってのはよくないことだよね。そういう危機意識があったから、いろいろと備えてはきたんだ。音楽家の家系出身じゃないけど、そういう風になること予想して、いろいろ準備したりね。将来起こり得ることについては、ちゃんと考えてるし前向きに捉えているよ。

アルバムをリリースすることについてプレッシャーはない?

3ヶ月スタジオにこもってたくさんの曲を作ったんだけど、まだまだ十分じゃないなって思ったよ。ツアーは利益を生むから、ツアーをやめるってのは大きな決断なんだけど、生産性を確保するためには3ヶ月くらいは必要だと思い立ったんだ。なので、スタジオにこもったんだよね。でも最初は次の1年には5つのシングルが必要だなんて思ってなかったし、映画音楽についてその成り立ちから勉強してみたくなるとか、全然考えてなかった。もちろん勉強したことで、いろいろとできることが増えたので嬉しいよ。自然と出てくる音楽を重視するやり方もあるし、知識や能力の限界を余すところなく出しきって音作りをするっていう方法もあると思う。僕はどっちかというと後者かな。僕の曲はハッピーな感じのテイストだけど、実はそこまでに至るにはとても苦しい道のりがあるんだ。今回やったみたいな曲を大量に捨ててレコーディングに半年かけて、みたいな状態を続けるなら、アルバムの完成は2035年になっちゃうってことも分かった。

madeon自身は、いい歌声だったりするの?

十代の自分の歌声はそんなに好きじゃないんだよね。幼い女の子の合唱の歌声とか、女性の声とか、ハイピッチの男性ボーカルが好きなんだ。そういったのに比べて自分の声はもっと不格好なんだ。まぁ、自分で歌おうと思ったことはないしね。将来やってみるかもしれないけど、今はautotuneで十分かなぁ。Cメジャーだけでキーボードを演奏して、そのキーをデジタルで変えてるんだ。コンピュータで似たようなことをできるようなことには、わざわざ自分の時間を使いたくないので、なるべく簡単にできることは簡単にしてるつもり。

いままででもらったプレゼントの中で一番変なのものは?

ワシントンに住んでるファンが贈り物をいくつか袋に入れてプレゼントしてくれたことがあるんだ。その中の一つに、僕みたいなブレザーを着たリスのぬいぐるみがあったんだけど、その名前は"Hugo Le Squirrel"っていうんだ(笑)。いまは僕のスタジオにあるよ。